令和の時代はサブスクリプションビジネス分水嶺 注目を浴びる一方で撤退や課題も

[インタビュー]黒字化を果たしたファッションのサブスク『メチャカリ』店舗では獲得できなかったユーザー層を取り込むメリット

https://subscription-mag.com/interview/mechakari/

会員数12,000人を突破し、事業が黒字化した、と発表した『メチャカリ』。黒字化とはいえテレビCMなどの宣伝広告費を除いての黒字とのことですが、現在のところ唯一と言ってよい収益化したサービスとなっています。メーカーが常に抱える、既存の店舗などの流通網との競合についても、実際にサービスを開始してみたら店舗に来ない顧客層が申し込んでくれた、と話しているように、サブスクリプションサービスを開始したことで、新たな顧客の開拓につなげることに成功しています。

AOKIがサブスクリプションから撤退する一方で、レナウンが同じスーツのサブスクリプション『着ルダケ』事業で、目標を超える申込みを獲得している、と発表しています。

[イベントレポート]レナウン、スーツのサブスク『着ルダケ』会員は順調に拡大

https://subscription-mag.com/interview/kirudake/

編集部では、レナウンに対して個別の取材を行いました。(個別インタビュー記事は後日公開)同社も、従来は百貨店という販路での販売を行ってきましたが、サブスクリプション形式でユーザーにダイレクトにサービス提供する形態に踏み切りました。利用者は40代以上が多いとのことで、AOKIのサブスクリプションサービスと同様の年齢層ではあるものの、「想定通り」としています。元々、同社のスーツは高価格帯のため、関心を寄せるのはスーツを気にかける忙しい高所得ビジネスマン。こうしたユーザーが、自分でスーツを選ぶのが面倒、クリーニングなどが面倒、クローゼットがスーツでいっぱいになってしまっている、などの不満を解消するために、『着ルダケ』を利用しています。現時点ではユーザーの満足度も高く、継続率も高い状態です。

空きリソースを活用してユーザーに利便性を提供するサブスクリプションサービス

サブスクリプションをする上で、空いたリソースを活用してビジネスを進めている事例もあります。美容室のサブスクリプションとして有名になった『MEZON(メゾン)』は、シャンプー・ブローというサブメニューに特化して通い放題を提供しています。

[インタビュー]美容室の価格競争体質を打破するサブスクリプション「MEZON」、9割を超す継続率の秘密

https://subscription-mag.com/interview/mezon-interview/

『MEZON』のユーザーは、家事や子育てと両立して忙しく働く女性がメイン。平日の昼間、仕事の合間や会食の前など、比較的空いている時間帯の利用が多いとしています。一方の美容室はこうした空き時間に顧客が来店してくれることがメリットにつながっています。ビジネスモデルとしては、『MEZON』はユーザーから毎月定額を支払い、美容室には利用に応じた支払いをしています。従来、クーポン媒体といった割引券で新規顧客を開拓していた美容室にとって、空き時間に来店があり、しかも売上につながるとなれば大きなメリットです。毎日利用するヘビーユーザーが増加すると『MEZON』の収益が悪化してしまうリスクはありますが、加盟する美容室は急速に増加しています。

家具の分野では様々なサブスクリプションサービスが誕生していますが、『airRoom』の場合、家具メーカーの遊休資産を使ってサブスクリプションビジネスを開始しています。

[インタビュー]若き起業家が挑戦する家具のサブスク『airRoom』サブスクの先にあるシェアリングエコノミーへの挑戦

https://subscription-mag.com/interview/airroom-interview/

家具のサブスクリプションの場合、仕入れに大きな負担がかかりますが、『airRoom』では遊休資産をリースの形で契約し、毎月支払いすることで一時的なキャッシュアウトを回避しています。ユーザーからのサブスクリプション収益を支払いに充当するため、短期間での解約ユーザーが増加するとリスクとなる可能性はありますが、参入にあたっての大きな壁となる初期投資を、極力少なくする工夫がされています。

こうした、空いたリソースを活用したビジネスは、シェアリングエコノミーの登場とともに出現しました。昨今のサブスクリプションビジネスの浸透も、背景としてはモノを持たないシェアリングエコノミーの流れがあります。

各社共通の課題は「サブスクリプション」のライフスタイルへの浸透

過去のインタビューや、イベントでの登壇者の発言に共通して見られる今後の課題としては、サービスの認知度がまだまだ低い、などが挙げられていました。

サブスクサービス、利用経験は35%。サブスクを知らない人は32%(マクロミル調べ)

https://subscription-mag.com/knowledge/subscription-research/

マクロミルによる調査では、サブスクリプションを利用したことがある人は、動画配信で24%、音楽配信などのデジタルコンテンツが続きます。認知率でようやく、洋服が7%、飲食店6%といった少数が認知している状態です。いずれのサービスも知らない人が32%にものぼりました。

モノが定額で利用できる、サービスが定額で使い放題になる、といったサービスが存在していることをまずは知ってもらう必要があります。

そういう意味では、現時点では日本においてはサブスクリプションサービスはまだ黎明期。今後、元号が令和に変わり、サブスクリプションが情報感度の高いアーリーアダプター層から、広く一般に浸透していくのとともに、サブスクリプションビジネスも成長していくと考えられます。

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杉山拓也
大手SIerを経て、ベンチャー企業にて複数のB2Bメディアを立ち上げる。 その後アプリマーケティング会社を立ち上げ、500以上のアプリマーケティングを支援。サブスクリプション型のビジネスを通して継続的にユーザーとコミュニケーションする重要性を体感する。 サブスクリプションマガジン編集長。