ソフトウェアはサブスクリプションモデルと、売り切りモデルで考え方を変える

AdobeやOfficeで誰もが知るソフトウェアのサブスクリプション型モデルへの移行

Adobeは2012年にサブスクリプション型で提供する「Creative Cloud」を発表、翌2013年にはパッケージ版を廃止してサブスクリプションに切り替えるという素早いビジネスモデル転換を行いました。

Adobeの発表した「Adobe 2018 Financial Analyst Meeting Slides」にもあるように、年間経常収益ARR(Annual Recurring Revenue)は継続的に増加しています。

Adobeの年間経常収益

現在では、ソフトウェアのサブスクリプション化の成功例として、各メディアに取り上げられています。

Officeを提供しているMicrosoftでも、従来型のパッケージ販売からサブスクリプション型の「Office365」への移行を果たしました。

現在では、個人向けに「Office 365 Solo」を年間12,744円で提供、従来のパッケージ販売である永久ライセンス「Office Home & Business 2016」を37,584円で提供しています。
法人向けには「Office 365 Business」として年間契約月900円、1ヶ月ごとの契約で1,080円から提供しています。

個人向けにはパッケージ販売を残しつつ、法人向けでは完全にサブスクリプションに振り切ったプラン設計になっています。

サブスクリプション型サービスと、従来の売り切り型サービスの収益の違いとはどういったところにあるのでしょうか?

サブスクリプションビジネスにおける売上の立ち方

従来の売り切り型(フローモデル)のビジネスと、サブスクリプション型(ストックモデル)の違いを一つの図にしてみました。

売り切りとサブスクリプションの収益の上がり方

売り切り型モデルは、マーケティングと営業にコストをかけ、受注時に大きな売上をあげます。
その後、顧客との関係は製品サポートという形で続くことになります。
サポートにもコストがかかります。

一方のサブスクリプションビジネスの場合、マーケティングと営業にコストがかかるのは同じですが、受注は売上のスタートという考え方ができます。

月額課金方式なので、受注時の売上は売り切り型モデルと比較すると小さいのですが、顧客が継続的にサービスを使い続けるのであれば、その後継続的に課金が発生することになります。

ここで、重要なポイントがいかにして顧客にサービスを継続してもらうか?です。 顧客が長期間サービスを使い続けてくれれば、企業側から見れば最終的にパッケージ版よりも多くの売上をあげることが可能です。

逆に、顧客が短期間で離れてしまうようであれば、パッケージ版を売り切った方が売上が高くなる、というのがサブスクリプション型のビジネスです。

サブスクリプションで重要なカスタマーサクセス

このように、受注が顧客との関係の始まりであるサブスクリプション型ビジネスでは、いかに顧客と長いお付き合いをするか?が重要になってきます。

こうした中、注目されているのが「カスタマーサクセス」というキーワードです。
カスタマーサクセスは、カスタマーサポートと比較して説明されることが多いようです。

顧客からの問い合わせやクレームといったアクションに対して対応するカスタマーサポートに対して、カスタマーサクセスは顧客に対して能動的にアクションを起こします。

例えば、顧客が契約した製品をきちんと使いこなせるようにする能動的な教育・サポートであったり、直近の利用状況を確認しながら利用率が下がってきた顧客に、先回りしてアクションを起こして解約率を下げる、といったことがカスタマーサクセスでは求められます。

サブスクリプション型ビジネスを提供している企業の視点から見れば、解約を防止して継続率を上げるために必要な部門になります。
一方の顧客の視点に立つと、製品を通じて自分たちのビジネスを成功させるための一番のパートナーになってくれるのがカスタマーサクセス部門と言えます。

まとめ ソフトウェアに限らずサブスクリプション型のビジネスでは、受注が顧客との関係のスタート

売り切り型のビジネスモデルにおいては受注がゴールなのに対して、サブスクリプション型のビジネスでは受注は顧客との関係のスタートになります。

いかに顧客に自社製品を満足して使ってもらい、顧客に成長してもらい、最終的には継続して製品やサービスを使い続けてもらうか?がサブスクリプションビジネスのキモになってくるのです。

企業が顧客が製品やサービスを使い続けることで、安定した収益が継続的に伸び続ける。 これがサブスクリプションモデルのメリットでもあります。
そういう意味では、顧客とWinWinの関係を築けるビジネスモデルと言えるでしょう。

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杉山拓也
大手SIerを経て、ベンチャー企業にて複数のB2Bメディアを立ち上げる。 その後アプリマーケティング会社を立ち上げ、500以上のアプリマーケティングを支援。サブスクリプション型のビジネスを通して継続的にユーザーとコミュニケーションする重要性を体感する。 サブスクリプションマガジン編集長。