解約率たった3%!おもちゃのサブスク「トイサブ!」インタビュー

知育玩具のサブスクリプションサービス「トイサブ!」を提供している株式会社トラーナ。

2015年11月4日に開始したトイサブ!、2018年12月4日に開始したトイサブ!プラスについて、同社代表の志田典道氏にインタビューをさせていただきました。

おもちゃのサブスクリプションビジネスの驚くべき継続率と継続の仕組み、どのプランをユーザーが選ぶのか、事業課題や今後の展開など、様々な切り口からお話していただきました。

おもちゃのサブスクリプション「トイサブ!」代表の志田様

知育玩具のサブスクリプション「トイサブ!」代表の志田氏にインタビューをさせていただきました

知育玩具のビジネスをはじめた3つの気づき

- そもそもなぜ、知育玩具のビジネスを始められたのでしょうか

私も子どもが4人いて、3歳くらいのときにおもちゃを買ってあげようと思ったときに、「ずいぶん昔と環境が変わっているな」と気づいたんです。

1つは、昔はおもちゃ屋が近所にあったんですが、今はなくなっているなと感じたんです。
家電量販店でおもちゃを買うという変化が起こったんだと気づきました。

2つ目は、キャラクターのおもちゃが主流になっていたことです。
また、キャラクターが長年変化していないことに気づいたんです。

逆に、自分が子どもの時に遊んでいたようなおもちゃがなくなっていました。

なんでこんなにキャラクターもののおもちゃが多いのかな?なんで昔ながらのおもちゃがなくなってしまったのかな?と思って調べていったんです。

日本の玩具業界の構造を深く見ていくと、ライセンスドされたおもちゃがすごく強い市場で、小売がそれしか興味を持たない。
そこに業界構造のゆがみみたいなものがあるな、と考えました。

 

一方で、知育玩具は価格も高いし、買っても子どもが遊ぶかどうかわからないと

お店で手にとっても、直感的に購入するものでもないなと感じました。

実際に試してみないとわからないので、レンタルビジネスというものを考えました。
これがサブスクリプション型にしたきっかけでもありました。

気軽に買うほどの金額ではないけど、買っても実際に子どもが遊ぶかどうかわからないなと。

でも、調べてみると知育玩具は目的を持って作られているので、何歳何ヶ月の子はこういうことが識別できるから、こういうコンセプトにしました、という設計がメーカーできちんとされているんです。

ライセンスドされた売るためのおもちゃよりも、子どもの事を考えてきちんと設計されているな、ということがわかりました。

これが3つ目の気づきです。

サブスクリプションで発送される知育玩具

トイサブ!の玩具(一部)知育玩具は月齢・年齢ごとに設計されているが、高価というデメリットも

 

- サブスクリプションというモデルは当初から頭にあったんですか?

私が親だったらどういうのがいいかなと思った時に、買い切りでモノが増えるのが嫌だなというのがありました。

また当時、Huluを契約していたんですが、気づけば継続でお金を払っていたという経験がありました。

一定以上のメリットがあれば、お金を毎月支払うことへの心理的なハードルもないんだなと思ったので、買う側の精神的な負担が下がるんじゃないかと考えました。

 

一人でのスタートから今ではおもちゃ8400個が流通

- 創業時はスモールスタートしたとのことですが

最初は、私一人ではじめたんです。
まだプランも今のように整っていない状態でした。

発送も自分で、自宅でやっていたので、家の階段を使って作業していました。

お客さんも増えてきて、ユーザーが30名を超えるくらいから、人を増やして3名でトイサブ!を運営するようになりました。

今はパートさんが21人、業務委託が3名という体制になっています。

創業時30個から始まったおもちゃの在庫は8,500個まで増えました。
今は独自開発のバックエンドのシステムも整えて運用しています。

 

トイサブ!のの生命線はプランシートと顧客データ

- トイサブ!のビジネスで重要なポイントになっていることはありますか?

プランシートの中におもちゃの遊び方の解説が書いてあって、それを同梱しています。

・概要
・各おもちゃの遊び方
・注意事項
・返却チェックリスト
・アンケート

何歳何ヶ月の子どもがレンタルしている2ヶ月の間、遊んだのか、あるいは遊ばなかったのか、継続したいと思ったのか、買いたいと思ったのかというデータを蓄積しています。

「トイサブ!」でおもちゃとともに同梱されるプランシート

トイサブ!では顧客ごとにおもちゃの使い方などをまとめたプランシートを同梱している

 

どのメーカーの商品がお客さんから評判で、どのメーカーの商品がお客さんから評判ではないかがわかるので、これをもとにメーカーとの会話もできます。

メーカーとしては、なんでこのおもちゃは適齢の月齢に与えているのに、遊ばないのか?といった情報は直接とることができないので、トイサブ!が窓口となって、メーカーへのフィードバックを行うんです。

そうすることで、製品開発にも活かすことができます。

これは、仕入れ型のサブスクのいいところで、メーカーにフィードバックを送ってコミュニケーションが図れる。

買い切り型のECモールのレビューと違って、実際に子どもが遊び終わったあとの信用できる評価情報になるので、他社ではとれない情報になっています。

同梱するシートで、トイサブ!のプランを作る担当も「この子はこういうおもちゃがいい」など、個別のプランを立てるのに役立てています。

おもちゃには社内的に5段階の評価をつけ、平均評価もおもちゃのプランニングに加味しています。
おしなべて平均評価が低い(2.5以下)おもちゃについては、仕入れないなどの対応もしています。
平均評価3.5以上は評価が高いおもちゃで、比較的どんな子どもも遊んでくれます。

我々のサブスクのコアの部分はこのプランシートを通したコミュニケーションで、顧客満足度を上げる生命線でもあります。

トイサブ!で同梱される返送までの流れのシート

おもちゃの発送・返送が顧客とのコミュニケーションになるトイサブ!。返送までの流れを丁寧に説明したり、遊んでくれなかった場合の対応などをまとめたシートを同梱している。

 

- データの蓄積というお話が出ましたが、独自のデータベースを構築していらっしゃるんでしょうか

今、プランナーが4名でおもちゃのプランニングを行っているんですが、将来的には属人を脱してシステム化していきたいと考えています。

今はまだその子に合ったおもちゃ選びはプランナーがやっているんですよ。

お子さんの情報はユーザーが書いたテキストベースで収集しています。
それを数値化していくことで、どういった子がどのようなおもちゃがいいのかシステムで判断できると考えています。

年齢別月齢別でできることが違っていて、さらに子どもによってもできることが変わってきます。

申込時、アンケートで申込者のお子さんがどういったことができるのか?を入力する画面を用意して、初期情報を収集します。

0歳児はどんどんできることが変わっていくのと、できる・できない、の判断が難しい項目もあるので、質問の精度を上げること、頻度を上げることで、常に情報を集めていくようにしていきます。

なるべくユーザーさんが書く文言よりも、定型的にとれる形に今後変更を加えていくつもりです。

 

毎月10%の成長をするトイサブ!離脱は意外な理由

- トイサブ!会員は堅調に増加しているとのことですが

2017年8月に継続会員が500名を超え、現在では1200名が契約をしています。

僕らのような仕入れ型のサブスクリプションの場合、成長率のコントロールをしないといけない側面があります。

ユーザーが増加すれば仕入れが発生するので、当月ベースで5%以上ユーザーが増加すると赤字になるんですが、現状5%以上で成長しているので、赤字が続いています。

黒字状態にするためには、売上原価である仕入れ原価を下げる、成長率を下げる、いずれかです。

今、毎月7%ずつ成長しています。
前月比10%でユーザーが増え、3%が離脱しているという内訳です。

離脱している3%の理由の一番の要因は保育園に行くことなんです。
保育園に通うことで、自宅で過ごす時間が減り、解約するケースが多いです。

家の時間を取り合いしているビジネスなんです。

でも、保育園に通う子どもも、最初のうちは慣れずに疲れてしまうのですが、保育園に慣れてくれば家に帰っても遊ぶようになる。

そうすると、またユーザーがトイサブ!に戻ってきてくれることも考えられます。

 

- どんなユーザーがトイサブ!を利用しているんでしょうか

申込者は男性・女性半々です。

年齢を調べると、お父さんお母さんだけでなく、おじいちゃんおばあちゃんからの申込みも15%程度あります。

地域は東京、名古屋、大阪を中心にトップ10都道府県でユーザーの70%を占めている状況です。

世帯所得に関しては、特に可処分所得が高い層に限らず、あらゆる所得のご家庭に受け入れられていることが分かっています。

私が単独でユーザーの家に訪問してヒアリングしたりもしています。
玩具業界はユーザーの本当の顔を知っている人が少ないと思っています。
小売も、対面では販売していますが、ユーザーを細かくトラッキングしているわけではありません。

こうしたユーザーの実態を、卸やメーカーに伝えることで、製品開発に役立ててもらうことができます。

仕入れ型のサブスクリプションサービスの場合、業界を変化させられると考えています。
色々なメーカーの商品を仕入れるので、メーカーからの情報も入ってきます。

自社製造の場合には、おもちゃのメーカーや卸は競合になってきますが、仕入れ型の場合には協業ができるんです。

トイサブ!は、ユーザーの情報も持っているし、メーカーからの情報も入ってくる。
知育玩具のプラットフォームになれるポジションにいると考えています。

 

ユーザーが最も選ぶプランと、価格設定方法

- ユーザーの入り口として多いプランは?

一括支払いと毎月支払いが半々です。

半年払い、一年払いはおじいちゃんおばあちゃんの申込みが多く、プレゼントのつもりで契約しているようです。
まとめ払いの場合、割引があるのでそれがお得感があるようです。

各プランの割合は隔月が7割くらい、半年が2割、45日が1割という比率です。

 

- プラン変更で30日から45日にレンタル日数を変更していますがどういった経緯だったんですか?

1ヶ月プランのユーザーの解約率が高かったんです。

おおよそ5ヶ月で解約していたので、ユーザーにヒアリングしたところ「毎月の返送は大変」「面倒になってしまった」という声がありました。

一方で、隔月だと長い、という声もあったので、間をとるかたちで45日のレンタルプランを新たに設けました。

 

- 価格はどうやって決定しましたか?

原価、減価償却回数、利益率から決めています。

値上げをもしするとしたら、今でいうと物流が非常に大きくて、物流が値上げされると我々も値上げせざるを得なくなってしまいます。

もう一つ、おもちゃは我々が輸入しているものもあれば、卸が輸入しているものもあるので、為替の影響も受けます。

今は円安傾向が続いているので、この円安が進んでしまうとおもちゃの仕入れが上がってしまうので、値上げせざるを得なくなってきます。

 

- 価格について顧客からはどういった声がありますか?

「買うのに比べれば安い」「しかも家の中で場所をとらない」という声が圧倒的に多いです。

 

サブスクリプションの命、平均継続期間と継続のための取り組み

- 平均継続期間はどのくらいでしょうか?

計算した結果、340日でした。
思ったよりも短いと考えています。

契約開始で一番多いのが0歳なので、そのユーザーが1歳までにやめてしまうという事になります。

多くの人が保育園に行くという理由で解約してしまうんですが、現状だと解約したユーザーを追いかける仕組みをまだ用意していないので、そのままになっている状態です。

今後、半年くらい経過したところで「またどうですか?」といった提案をしていけば、戻ってきてくれるユーザーさんも増えるのではないかと考えています。

 

- ユーザーに継続してもらうためにどういった取り組みをしていますか?

どういうおもちゃがその子に合っているか?をデータから判断して、最適なおもちゃをとどける、そこを磨くところが事業の根幹です。

非常に少ないのですが、ユーザーから「このおもちゃでは遊ばなかった」という声も届くことがあるので、そういう声を真摯に受け止めて、日々改善しています。

それと、毎回おもちゃに同梱するプランシートでのコミュニケーションを大切にしています。

色々なことを書いてくれる熱心なユーザーもいらっしゃって、それに対してプランナーからのお返事なども返すようにしています。

そういう意味では、毎回のおもちゃの発送・返送がコミュニケーションになっています。

トイサブ!ではおもちゃを送る箱にも工夫が凝らしてある

おもちゃを発送する箱も工夫し、リニューアルしたとのこと

 

さらなる継続を目指し、新サービスの投入

- 新サービスとして追加されたトイサブ!プラスの狙いは

我々のサービスだと、4歳未満のサービスなので4歳を超えるとやめざるを得ないんです。
また、トイサブ!をはじめて知ったのに、もうすぐ4歳というユーザーもいます。

そこでの取りこぼしが結構ある。
「もうやめないといけないんですか?」と、ユーザーさんから言われることも多々ありました。

そういったニーズもあって、4歳から8歳向けのトイサブ!プラスを開始しました。

トイサブ!プラスを始めようと考えたのは1年前。
そこからサービス準備をして、開始しました。

開始1ヶ月で50名が申し込みしています。

これからさらに、トイサブ!プラスでどういう玩具が届くかを伝えることで、ユーザー拡大をしていく予定です。

 

トイサブ!に訊くサブスクリプションのメリットと課題

- サブスクリプション型にしてよかったことはありますか?

サブスクリプションは、売上の予測が非常にしやすいストック型のビジネス。
仕入れて売るというモデルだと、玩具業界は冬にしか商戦がないんです。

玩具業界にいて、毎月事業の見通しが立てやすいというのは、サブスクリプションならではだと思います。

 

- 投資家の反応はどうでしょう

サブスクリプションは売上の予測が立てやすいことに加えて、数字が科学されているモデル。

毎月の申込数、継続回数、平均単価、平均獲得単価、などを分解すれば事業の成長性が見えやすいので、非常に理解してもらいやすいですね。

 

- トイサブ!の課題はありますか?

事業を立てる上で3つの課題があります。

1つは仕入の部分で、売上原価をどう下げるか?

2つ目は物流。今はヤマトで発送しているが、なかなか物流コストが下がらない。

最後はファイナンスの部分。

短期的にユーザーが増えれば増えるほど赤字になるという仕入れ型サブスクリプションモデル特有の悩みがあります。

銀行にサブスクリプションモデルの構造というのを理解してもらいにくいんです。
顧客が増えているので、仕入れて売ればすぐ黒字になるよね、という考え方をまだされてしまいます。

 

- トイサブ!をはじめてみてよかったことはありますか?

率直に、日本全国のお子さんに遊んでもらえていることが嬉しいですね。
ユーザーのお子さんが「このおもちゃはおもちゃの王国に帰るんでしょ」と言ったりしているそうで、その王国を私が運営しているというのが喜びです。

あまり目立つサービスではありませんが、ユーザーのお子さんに貢献できている実感が強くあります。

トイサブ!がなくなってしまうと困る、というユーザーさんが1200人もいると思うと、事業をやっていてよかったなと思います。

 

- 最後に、今後の展開について聞かせてください

トイサブ!とトイサブ!プラスは地道に国内でも頑張っていきます。

来年には台湾に進出することも決まっているので、台湾のマーケットにもトイサブ!を広げていきます。
さらにその後、中国市場も狙っていくつもりです。

仕入れのモデルも共存しながら、自社でのおもちゃ製造も開始することを考えています。

自社製造によって利益率が上がるというメリットもありますし、さらにその頃には今よりもさらにデータが集まっているので、何歳何ヶ月にはどんなおもちゃが適しているか?が見えている状態。

そのデータを活かして、独自におもちゃを製造できると考えています。

ユーザー数は5年間で10万人を目標にしています。

5年間で10万人を目指すためには、今から4~5倍の成長を続けていく必要があって、今年度の目標4000人なのですが、今から3.5倍のジャンプアップをする必要があります。

これまではメディアの取材などで自然増加していましたが、今後は積極的にマーケティング活動を行っていくつもりです。

おもちゃのサブスクリプションの認知を上げないといけないと思っているので、そこからスタートです。

- ありがとうございました

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杉山拓也
大手SIerを経て、ベンチャー企業にて複数のB2Bメディアを立ち上げる。 その後アプリマーケティング会社を立ち上げ、500以上のアプリマーケティングを支援。サブスクリプション型のビジネスを通して継続的にユーザーとコミュニケーションする重要性を体感する。 サブスクリプションマガジン編集長。