[インタビュー]ユーザーが意識する必要がないところまで値段を下げる、家具のサブスク『CLAS』の価格戦略とは

 

家具を買うタイミングって、何かしら他のことでお金が出ていくタイミングだと思うんですよね。
例えば引っ越しもそうですし、子どもができたときなど。
ライフステージが変わるタイミングで家具を買うと思うんですが、ライフステージが変わるときって他でお金が出ていってしまったりして、家具を買う余裕がなかったりするんですよね。
お財布のシェア問題もあると思うんです。

捨てるときも大変で、行政にお願いすれば安いとはいえ、目黒区や世田谷区だと連絡しても2週間や3週間取りに来てくれなかったり。
明日にはもう要らなくなってしまう家具が、2週間待てと言われても厳しいじゃないですか。
女性一人でゴミ置き場まで持っていくのも大変だと思います。

そういうふうに、家具ってすごくユーザーペインが放置されているなと感じています。
こうしたユーザーペインを、サブスクリプションという形であれば解決できるな、と考えたのがサービスの背景です。

ーサービスの立ち上げ時期にテストなどはされましたか?

ある種ベータ版くらいの時期と捉えていたのが、去年ローンチしてから12月の末あたりまでを1つの期間として設定していました。
あとは、サービス開始前に200人にアンケートをとったりして、本当にこのサービスがはまるのかどうか、調査をしました。
その調査で、ニーズの有無を確認しました。

もう1つ、調査で見えたのが、ユーザーが家具のブランドやデザインに対するこだわりが薄いということも見えてきました。
アパレルとかだと、このブランドが好き、このデザインが好きというのがある。
しかもそれが年ごとに変わっていくんですよ。
それが家具に関してはなかったんです。

買うフリークエンシーが、ファッションと比べて圧倒的に低いので、リテラシーが上がらないというか、こだわり方が分からないのが家具なんだなということが分かりました。
であれば、より普遍性の高いものであればサブスクリプションに適しているかな、とわかったことが調査での学びでしたね。

家具のサブスクリプションの鍵が価格設定である理由

ーサブスクリプションというと価格の設定が一番の悩みどころではないかと思うのですが、価格設定はどうやって行ったのでしょうか

今の価格を、2月の段階でベースの価格をさらに下げるんですね。
ベースの価格を下げつつ、さらにそれが階段状にどんどん下がっていくというプライシングをとります。

おっしゃる通り、プライシングがこのサブスクリプションビジネスの肝だと思っています。

今後の新価格に対しての狙いというのは、ユーザーは買ったときと借りたとき、どっちがお得なんだろうと考えると思うんです。
その方程式があんまり頭に浮かばなくなるくらいギリギリなところまで価格を下げていく。

ユーザーが価格を意識しない限界まで下げていくと語る久保裕丈氏

ユーザーが価格を意識しない限界まで下げていくと語る久保裕丈氏

吉澤 哉
プロデューサー、プランナーとして商品のブランド化・ファンの獲得を目的に各種ブランドサイトを構築。サイト制作だけでなく、イベントのプランニングを多数実施。 大手ECサイトの総合ディレクションやUI改善を担当。 イベントのノウハウで、常にリアルマーケティングを意識した制作をするプロデューサーとして支持される。 テモナ株式会社 PR担当