【インタビュー】SNSからサブスク型クラウドストレージに進化した『サマリーポケット』

つるの剛士さんが出演するテレビCMでも話題となっている、サブスクリプション型ストレージサービス『サマリーポケット』。断捨離や片付けが注目される昨今、家の中は整理しておきたいが、捨てられない。そういったモノをボックスに詰めて預け、預けたものが写真でスマホから確認ができる便利なサービスとして利用者、取扱箱数ともに伸びているそうです。

モノを預けるといえばトランクルームが思い浮かびますが、サブスクサービス『サマリーポケット』はどんな部分がトランクルームと違い、なぜ支持されているのでしょうか。今回は株式会社サマリー 整理収納アドバイザー 米田まりな様にお話を伺ってきました。

倉庫・ストレージのサブスクリプション『サマリーポケット』米田まりな様

 

箱に入れて預け、好きな場所で受け取れる四次元ポケットのようなサブスクリプションサービス

ーサマリーポケットはどんなサービスなのでしょうか

一言でいうと、箱に詰めて送るだけで預けられるスマホ収納サービスです。利用のステップは簡単です。最初に6種類の箱から自分の用途に合った必要な分だけ箱を取り寄せます。最短で翌日にカラの箱がご自宅に届きます。その箱に、洋服や本など預けたいものを詰めてヤマト運輸に引き渡していただくと、倉庫に荷物が届きます。倉庫では預けた荷物を1週間以内に写真撮影を行って、ご利用者様の手元で確認できる状態になります。

トランクルームの課題として、何を預けたかを忘れてしまう方が多いのですが、サマリーポケットの場合、預けたものをスマホで見ることができます。また、中身を確認するだけではなく預けたアイテムから必要なものだけを選択して最短で翌日に受け取ることができます。受け取りは住所が指定できるので、自宅だけでなく、例えばキャンプ先に必要なものを送ったりすることも可能です。

また、預けたアイテムが不要になったときには簡単にヤフオク!に出品ができるようになっています。説明文の用意などの出品作業から梱包・発送までをすべてこちらで行います。

洋服は、ハンガーに吊るして保管する、などのオプションも提供しています。さらに洋服や靴、布団についてはクリーニングの依頼もできます。靴に関してはシューズリペアのサービスもあります。

単に預けられるだけでなく、様々な付帯サービスを受けることも可能になっています。

 

トランクルーム市場に風穴を開けたいという想い

ーサマリーポケットのサービス開始の背景は

サマリーは会社としては2010年に設立しました。当時はモノの百科事典を目指すSNSアプリ『サマリー』を提供していました。アプリを使っていくと、自分の興味のあるモノに表示がチューニングされていく仕組みをとっていました。おかげさまでユーザーも100万人を突破し、すごくコアなファンも多くいます。

2016年に寺田倉庫の出資を受けて、『サマリー』が提供しているモノをわかりやすく表示する技術と、寺田倉庫の持つモノを保管するというリソースを組み合わせて『サマリーポケット』が誕生しました。

サマリーポケットを立ち上げた理由には、トランクルーム市場に風穴を開けたいという想いがありました。ストレージ市場はアメリカだと3兆円あるのですが、日本は800億円です。また、都内でトランクルームを借りようと思うと、月額8,000円程度かかることもざらで、それなりの年収がある方しか検討の余地に入らないといった状況があり、どんな方にも使ってもらえるようにその裾野を広げたストレージサービスを作り出したいと考えたんです。

 

ーサマリーの発展型がサマリーポケットというイメージでしょうか

将来的にはサマリーとサマリーポケットを統合したシェアリングサービスまで発展させたいと考えています。預けているものを貸し出したりできることはもちろんですが、モノを自由に貸し借りできるプラットフォームのイメージです。今は預かっているモノしかデータ化されていないのですが、人の保有しているモノのデータをすべてとって、価値を見える化して、ファイナンス事業などへの発展も考えています。

 

ー料金体系は必然的にサブスクリプション型になったのですね

トランクルームや住宅など、基本的に床面を借りるというのは総じて月額制なのですが、サマリーポケットは箱単位でのストレージになるので、預けた箱の分だけ従量で料金をいただいています。

インタビューに答えてくださる『サマリーポケット』米田まりな様

 

ー一人あたりの利用単価はどの程度なのでしょうか

月額2000円前後です。複数の箱をお預け頂いている方が多いです。

 

ユーザーはアーリーアダプターだけでなく一般層にも拡大

ーサマリーポケットはどんな方が利用されているのでしょうか

幅広いユーザーさんにご利用頂いているんですが、ボリュームゾーンは25歳から45歳までの方です。その中でも30代の方が最も多くなります。男女比では女性が若干多いです。女性のご利用方法としては、服を預けて季節によって取り出して使われる方が多いです。男性の場合は趣味のコレクションや書籍などが多く、男女で使い方が違う傾向があります。

地域で見ていくと、やはり土地代と比例して利用者が増える傾向があります。1都3県の利用者が多く、東京都は約半数いらっしゃいます。戸建てとマンションで比較すると、マンションのユーザーさんが多いです。

 

ーユーザーはどんな時に、どんなニーズでサマリーポケットを利用されるのでしょうか

大前提としては、収納しきれずにモノが溢れてしまっているという課題があるのですが、ライフイベントのタイミングで利用されています。例えば、引っ越し、出産、結婚・離婚といった生活の変化のタイミングで利用いただくことが多いです。

引っ越しの場合、地方で比較的広い間取りの住宅から、都内への引っ越しで物理的な面積が狭くなるなどの理由があります。また、シニア世代の方では、子どもが巣立ったあとに戸建てからマンションへの住み替えなどのタイミングで活用頂いています。

引っ越しを伴わなくても、お子さんが生まれて子供部屋を作る必要があったりすると、家族一人あたりで利用できる面積が減るので、その分をサマリーポケットに預けたりしています。出産のタイミングでは、お母さんの服も変化しますので、それまで着ていた洋服を預ける方もいらっしゃいます。お子さんが育つにつれ、幼稚園や保育園で作った工作など思い出の品が増えていくので、こうしたライフスタイルの変化に沿って活用いただく例が多いです。

 

ーサービス開始前に設定していたユーザー層や利用形態と、実際にサービスを開始したあとのユーザー層や利用形態の違いなどはありましたか?

ペルソナについては、日々更新をしています。当初SNSの『サマリー』を運営していた頃はアーリーアダプターの方が多かったのですが、『サマリーポケット』のユーザー層はより広いです。アパレルに興味関心の高い層ももちろんいらっしゃるのですが、例えばフィギュアの収集など、特化した趣味をお持ちの方にもよくご利用いただいています。

 

ー幅広い層に受け入れられるということは、一方でペルソナを絞り込むのが難しいと思いますが、何種類かペルソナを用意しているのでしょうか

そうですね、複数種類のペルソナを用意しています。定期的に2000人~3000人に対して調査をしていて、どういった方がどういった部分にペインを持っていらっしゃるのかを常に把握するようにしています。

 

ユーザーとのコミュニケーションについて

ーユーザーの声ということですが、ユーザーさんとはコミュニケーションをとっていたりするのでしょうか

はい、例えばユーザーインタビューなどもしています。一人あたり1時間~2時間お時間をいただいて、ユーザーさんの声を聞いてまわっています。また、ユーザーアンケートもとるようにしています。アンケートは皆さん活発に回答いただけています。

また、SNSでのコミュニケーションを重要視しています。『サマリーポケット』とつぶやいた方を全てチェックして、不満があればそれに対してフォローをしたり、良い使い方をしているユーザーさんがいらっしゃれば、『サマリーポケットジャーナル』というメディアで紹介させてください、といった声がけをしたりしています。

 

ー『サマリーポケットジャーナル』を拝見するとホリエモンなど有名人のインタビューなども多数掲載されていますね

はい、最近だとゆうこすさんなどにもインタビューさせていただきました。サービス開始当初は比較的アーリーアダプターの方を中心に使い方などをインタビューしていたのですが、最近ではより一般的な使い方であったり、ビジネスユースでの事例としてインタビューさせて頂いています。そういう意味では、発信するコンテンツは変化していますね。

 

ーサービス継続とともに、ユーザー層が変化していっているのですね

はい、サービス開始当初はスマホアプリでローンチしているのですが、2017年にはブラウザ版もスタートさせました。接点が増えたことで、比較的年齢の高い方が顕著に増加しました。

とはいえ、まだまだ55歳以上の方は取り切れていないのですが、ニーズがあることは調査から分かってきているので、そういった方にどう利用していたくかは課題としてあります。

 

価格の設定について

ーユーザー層の幅が広がった背景の一つに、価格設定もあるように思いますが、現在の価格はどのようにして設計したのでしょうか

ワンコインで収まるようにしたいという考えから、全ての箱がワンコイン以下の価格で設定されています。一般のトランクルームの4分の1以下の価格ということをうたっています。

 

ー価格の設定は定期的に見直されているのでしょうか

箱のバリエーションは日々増加しています。最初はスタンダードプランのみだったのですが、もう少し大きい箱が欲しいという声を受けて、ラージを追加したり、中身の写真を撮らないで欲しいという声からエコノミープランを追加しました。また、本を預ける際に従来の箱だと強度が足りないので、本専用の箱を追加するなど、細やかに種類は増やしています。

お客様の声を聞きながら、常にサービスの改定を繰り返しています。

 

ー利用料がかなり低価格に設定されている印象がありますが、寺田倉庫さんとの協業の影響が大きいのでしょうか

そうですね、寺田倉庫さんは個品管理のスペシャリストなので、品質と価格ではかなりの強みになっています。ワイン保管など専門的な保管もされており、安心して使っていただけるための管理体制についてはプロフェッショナルです。

 

クロスセルで儲けるのではなく、あくまでユーザーの利便性のためのオプション設計

ー箱のラインナップだけでなく、オプションサービスも追加されていますね。これはクロスセルやアップセルといった考え方なのでしょうか?

ユーザーさんの利便性を考えて、最初はヤフオク出品やクリーニングといったサービスを設定していました。最近でいうと布団クリーニングを追加しています。これも、お客さまの声を聞きながらサービスを追加しています。加えて、競合となるようなサービスの価格を比較して、よりお得になるような価格設計をしています。

こうしたオプションの設計の目的としては、オプションサービスの申込みで儲けたいという理由ではなく、よりユーザーさんの利便性を高めて、あらゆるものを預けていただきたいという考え方に基づいています。

『サマリーポケット』ではあくまでユーザーの利便性を考えてクロスセルを提供している

 

単発ビジネスとサブスクリプションビジネスを見てきて得た気づき

ー単発取引だった『サマリー』から、サブスクリプション型の『サマリーポケット』サービスを開始して、気づいたことなどはありましたか?

『サマリーポケット』の場合は、ユーザー獲得のKPIだけではなくて、その後の離脱率であったりクロスセル・アップセルが増えているのかなど、見る指標が増えている印象があります。

サービスの継続率も非常に高く、サービス開始当初から現在までご利用いただいているユーザーさんも多数いらっしゃいます。使い方としては、長期間預けっぱなしにしておく箱と、こまめに取り出す箱に分けて活用いただいていたりします。季節で取り出す洋服などの箱もありますし、お子さんの思い出の品など一度預けると長期間保管しておく箱もあります。

トランクルームの場合、2〜3年単位で引っ越しの時期が来ると解約があるとされているのですが、『サマリーポケット』の場合には住む場所を問わず継続的に利用ができるので、ご利用いただく期間が長くなる傾向があります。

 

短期・長期契約ごとのユーザーの離脱傾向

ー非常に少ないとのことですが、離脱するユーザーはどういった理由で離脱するのでしょうか

例えば、リフォームの際のお荷物の保管など、一時的な保管ニーズでご利用いただいた場合などですね。

 

ー長期で利用していた方が離脱することもあるのでしょうか

都心部のマンションから、収納に余裕のある、郊外の戸建てに転居された方などが利用をストップされるケースはあります。

 

ー離脱の理由はネガティブなものではないのですね

そうですね、住環境の変化でより面積の広い住宅に引っ越したり、トランクルーム付きのマンションに引っ越すなどの理由が主な離脱理由になっています。

 

ーサブスクリプションビジネスを運営していくポイントはどんなところにあると思いますか?

ユーザーの獲得も重要だと思いますが、契約いただいた後にいかに積極的に活用していただくかが重要だと感じています。『サマリーポケット』の場合、毎年5月・6月と9月・10月の衣替えシーズン、それから12月の年末の大掃除シーズンにユーザーさんが大きく動くのですが、このタイミングを逃さずにキャンペーンを実施して、ユーザーさんの利用を促進するような取り組みをしています。

 

さらに認知拡大のためにCM展開、さらなる認知を目指す

ー新規顧客の獲得はどのように行っているのでしょうか?

ウェブでのプロモーションに加えて、テレビCMもこの4月に開始しました。私達は、スマホ収納のトッププレーヤーだと考えているのですが、まだまだサービス自体の認知度が低いのが課題です。100人に聞くと2、3人しかサービス名を知らないという認知率なので、これを広めていく必要があります。認知さえしてもらえれば、収納に困っている人が必ず使ってくれると考えているので、今は認知をどれだけ広げられるか、というフェーズにあると思っています。

つるの剛士さんを起用したサブスクサービスのテレビCMも展開している

『サマリーポケット』ではサブスクサービスの認知をさらに拡大させるため、つるの剛士さんを起用したテレビCMを開始している

 

ーSNSサービス『サマリー』からサブスクリプションビジネス『サマリーポケット』を運営して見えてきたことはありますか?

『サマリー』はスキマ時間に楽しんでもらう側面の強いソーシャルメディアですが、『サマリーポケット』はその人の住環境と非常に密接に関わってくるサービスになっており、一度生活に入り込んでしまうと、なくてはならないサービスになります。すぐに使わないモノに家賃の高い自宅スペースを使うのはもったいなく『サマリーポケット』に預けてしまったほうが、コストメリットもありますし、生活環境もシンプルでよりよくなります。

 

サブスクリプションサービスのメリットはユーザーとの継続的な関係による事業の拡大

ー経営視点で見たときのサブスクリプションサービス『サマリーポケット』のメリットはどういったところにありますか?

今は保管をすることで収益を得ていますが、人が何を所有しているか、といったデータを持っているところが強みになってくると考えています。ユーザーの趣味趣向といったデータを蓄積している企業はたくさんありますが、その人が実際に何を持っているかというデータを蓄積している企業はまだないと思います。こうしたデータを活用した派生事業ができるのではないかと考えています。

また、ご利用頂いているユーザーさんのロイヤリティも高いサービスで、非常に継続率も高いのは事業としての強みです。先程のユーザーアンケートの反響などもそうなのですが、こちらからのアクションに対して積極的に反応してくださっています。

ワンショットのビジネスと違い、ユーザーさんと継続的にお付き合いすることで、サービス改善の声なども拾って、さらによいサービスに進化させていくことも出来ています。ユーザーさんの拡大とともに事業が拡大、改善しているのもメリットだと思います。

 

ー『サマリーポケット』の事業の成長の軸は、ユーザー数の拡大だけではなく、一人あたりの利用箱数の拡大もあるんですね

そうですね、布団クリーニングなどの付帯サービスもそうですし、さらに預かり品の安心保証を充実させたり、ユーザーさんの声を拾って既存顧客を飽きさせないサービスを常に追加しています。

何か新しいサービスを追加した際には、ユーザーさんにお知らせをするのですが、非常に反応がよくて、打てばすぐ響いて返ってくるという印象を受けています。一見すると、長期間預けるサービスなので、コミュニケーション頻度が低いサービスに見えるかも知れませんが、ユーザー視点で考えていくとお金を払って預けているので、決して不要なモノではないんです。頻繁には使わないモノであっても、断捨離の対象にはならない、愛着を持った思い出の品であったり、季節に応じて活用するモノであったりします。

 

ー定期契約やサブスクの中には、ユーザーが契約していることを想起させないことで利用期間を引き伸ばすサービスもありますが、それとは逆のアプローチをしているということでしょうか

はい、長期間モノを預かるサービスでありながら、ユーザーとのコミュニケーションは積極的にとっています。一つは従量という課金体系もあります。便利さを感じて利用してもらえればもらえるほど、収益が上がる仕組みです。

また、ジムやコンテンツ・サービスのような、利用していない間にも課金がされるようなサービス体系ではないのも大きな違いだと思います。費用を支払って預けている間は、自分の部屋をより有効に活用できる。それを解約すれば、再び部屋に荷物が戻ってくる、というわかりやすいサービスだと思います。

 

ー今後さらにブラッシュアップしていきたい点は

今のサービスだと、配送が最短翌日なのですが、当日配送にも対応していきたいと考えています。また、箱に入り切らない大型のモノを預けたいといったニーズも強いので、自社配送を整えて、まずは都内からトライアルサービスを開始していくといったことも考えています。

昨年、早朝深夜の集荷にも対応しました。働いている方の場合、平日の昼間になかなか配送が難しく、都内19区では早朝深夜をサービス対応エリアにしています。

今後はさらに、お預かりしているモノのデータも活用しながら新サービスを開発していきたいと考えています。

ーありがとうございました

参考『サマリーポケット』https://pocket.sumally.com/

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杉山拓也
大手SIerを経て、ベンチャー企業にて複数のB2Bメディアを立ち上げる。 その後アプリマーケティング会社を立ち上げ、500以上のアプリマーケティングを支援。サブスクリプション型のビジネスを通して継続的にユーザーとコミュニケーションする重要性を体感する。 サブスクリプションマガジン編集長。