事業を行っている方であれば、毎週・毎月の営業会議で受注の進捗を報告する風景は見慣れたものでしょう。
例えば、受託開発サービスであれば、こんな会話が飛んでいるのではないでしょうか。
「今月は目標に対して○%の達成。来月は今の所○%まで見えています。残りの○%を追うために、営業を進めます。」
「今月は102%の達成に対して、来月受注予定だった△△社が見込みから外れたので、来月の目標を達成するためにはさらなるリードが必要です。」
一般消費者向けに野菜を販売しているECであれば、今月の広告施策がヒットして大量の注文が殺到しても、翌月同じ顧客がリピート購入してくれなければ、翌月もまた広告を出稿して顧客を獲得する必要がでてきます。
広告からの受注率がある程度データで溜まっている、勝ちクリエイティブも持っているとはいえ、すべての顧客が一見さんだったとしたら、売上は広告の結果次第ということになるでしょう。
受注の都度収益を上げるフロー型ビジネスは、毎月毎月、受注を追い続ける必要があります。
顧客がリピートしてくれている場合でも、発注のタイミングはまちまち。
また、季節や景気などの外部要因に左右されやすいという特徴を持っています。
これは、経営者や事業責任者にとっては非常に不安な状態が常に続くことを意味しています。
一方で、顧客が毎月定期的にサービスにお金を払ってくれる、あるいは商品を購入してくれるサブスクリプションビジネスの場合、営業会議ではこんな会話になります。
「今月の継続売上合計は○円、解約○件に対して新規顧客獲得数○件、そのため来月は○円の継続売上があります。」
サブスクリプションビジネスでは、月初時点で月の売上が見えている状態です。
サブスクリプションビジネスを数年に渡って行っている場合には、年末の時点で翌年の売上が見えている企業もあるでしょう。
サブスクリプションビジネスでは月末や年末の時点で翌月・翌年の売上が見えている、ということは、月単位・年単位での生産をあらかじめ計画することが可能です。
計画生産というとこれまでのフロー型ビジネスの場合は、ばらつきのある過去の注文状況から予測して生産を計画するので、予測が外れると膨大な在庫を抱えたり、突発的な大量発注の際に在庫不足に陥るというのが実情でした。
そこで注目されたのが、かんばん方式と呼ばれる手法です。
注文があってから生産を開始するため、理論上は在庫なしで事業を運営できるというメリットはありますが、一方で注文からお客様に商品が届くまでの時間が長くなるというデメリットがありました。
フロー型ビジネスの場合、化粧品などの商材であれば、広告があたったがために在庫不足に陥り顧客離れを起こしてしまったり、その翌月には広告を見込んで在庫を用意しておいたにもかかわらず、注文が思ったほど入らず在庫がダブついてしまうなどの事態が起こるわけです。