今、渋谷で話題となっているランチのサブスクリプションサービスがあります。食のテイクアウトサブスクリプション『POTLUCK』。同サービスは、事前にチケットを購入しておくことで、提携する飲食店でランチやディナーが受け取れるサービス。直近では定額制プランも導入し、ユーザー数が順調に増加しています。
Twitterでは“ポットラックガチ勢”という言葉を生み出し、日々ユーザーがランチBOXの写真を共有。渋谷エリアで口コミが広がっています。
今回は、『POTLUCK』を運営するRYM&CO.Inc.代表取締役/CEOの谷合竜馬氏にインタビュー。創業からサービス立ち上げ後のユーザーの反応、継続への取り組みなどをお伺いしてきました。
ーランチのサブスク『POTLUCK』創業の背景は
2017年11月に登記したので、まだ始めて1年くらいでしょうか。僕自身、これまでフリーランスをしていたんですが、飲食の場が好きで渋谷の道玄坂にある知り合いのバーに立っていたりしていたこともあります。僕は東京出身ということもあり、帰る田舎みたいな場所がないのですが、例えばそのバーは自分にとっての居場所みたいな存在でした。そうした経験からも、飲食店は単に飲み食いしたり働いたりするだけの場所ではなく、コミュニティとしての機能も持っていると思っています。
また、カラオケの店長として店舗の組織運営をやっていたこともあるんですが、カラオケ店は新規の顧客も重要なのですが、どれだけ継続して店舗に来てもらうかも非常に重要でした。顧客との関係性で成り立つ、関係を維持するコミュニティに対しては昔から興味を持っていました。
こうしたバックグラウンドを持ちながら、いつかスタートアップを始めたいという希望があったので、飲食を軸とした起業を考えはじめました。
その頃にオフィスでの勤務を経験していたのですが、お昼になるとランチを外に食べにいきますよね。その時に、どうしても近場で済ませてしまうという毎日が続いていました。新しいお店を開拓しようかとも考えるんですが、なかなか行ったことのないお店に飛び込む事も少なくて。結局、居酒屋やチェーン店のランチタイム営業に行ってしまうんですが、当たり前なんですけど、何回行っても「常連」にはなれないんですよね。単純に、食べて帰るだけ。何かを生み出す時間ではなくて、単に消費するだけの、こなすだけのランチタイムが続いていました。
それは自分が理想とする飲食のあり方とあまりにかけ離れていました。店舗は、本来ならお客さんとの関係を築くために営業しているのに、捌くことで終わってしまっている、とも思いました。
お客さんからしてみても、忙しい昼休みにとりあえず食べられるものであればなんでもいいや、という感覚で、日々消耗していっているように感じました。そこを変えていけないかな、と思ったのが起業のきっかけです。
飲食という背景と、ランチの課題感があって、そこで海外の事例などを調べていったときに出会ったのが『POTLUCK』のモデルでした。
POTLUCKは、ニューヨークの『MealPal(ミールパル)』というサービスを参考にしています。『MealPal』は都市部で展開している、事前予約のテイクアウトサービスです。料金体系は事前にチケットを購入する定額制をとっています。それを見た時に、日本でこういったサービスを展開すれば、飲食店とお客さんとの接点づくりに活用できるんじゃないかな、と感じました。
ー継続的な接点づくりというのはサブスクの特徴ですね
はい、サブスクリプションビジネスを探した、ということではなく、本来は飲食店自体がお客さんとの継続的な接点になりうる場ですし、コミュニケーションの場なので、あとは継続的なお付き合いができるモデルを作ることが重要なんじゃないかなと考えていました。ランチは毎日のことなので、継続的な接点も作りやすいと考えたんです。
ふだん、ランチを食べるか食べないか、ということはあまり意識しないと思います。一方でどこで食べるか、何を食べるかという選択肢は常にあるので、結果的にサブスクリプション型が適しているということになりました。
ー現在6枚・12枚・20枚のプランがありますが、サービス設計当初からの価格設定でしょうか
チケットプランに関しては、サービス設計当初から変わっていません。毎日のランチで使っていくなかで、最初はどれくらい使うかわからないですし、利用頻度を考えた料金プランを設計する必要があり、利用頻度によって選んでいただける三つのプランを用意しました。『POTLUCK』が『MealPal』と違うのは、『MealPal』は一食あたりチケット1枚なんですが、『POTLUCK』は一食1.5枚や2枚といった、ちょっとしたスペシャリティメニューも用意しているというところ。チケットが余りそうであれば、「今日は少し贅沢なランチにしてみよう」といった感じで、気分に合わせて使っていただけます。
ー食べ放題プランも追加されましたね
はい。ユーザーの方からの、もっと自由に使いたい、というニーズにお応えした形になります。一旦100名限定で開始したのは、どのくらいの利用率があるかをテストしたかったという理由がありました。テストしてみて、実際の利用頻度を見つつ、今後もビジネスとして成り立たせる必要もあるので、プランの価格面を設計する意図がありました。