大きくないか、というと価格に対するご意見はあります。先程の話に戻ってしまうのですが、私達の提供している価値が関係していると考えています。
単純に服を買うか借りるか、という話になるとleeapは服を買うこととの比較になります。なので、よくあるのがユニクロで買ったら何が買えるとかそういった話になってくるのですが、そうなるとしんどい話でしかなくなってしまうんです。安くていいものが買えるという小売の発想です。
私達の場合、配送やクリーニングだけでなくLINEでの相談などをひっくるめてサービスとして提供しているんですが、服というものだけを比較したら高い、と感じる部分はあるようです。なので、服というモノにお金をはらうという感覚の方から見ると高い、と感じるようです。
一方で、仕事が忙しくて週末も家族とどう過ごそうかと考えているような方からすると、私達のサービスはとても便利で、むしろ安いといった評価をいただけています。
ー新規のユーザー獲得はどのようにされていますか?
限定された経路は特にありませんが、多いパターンとしては、最近になってサブスクリプションやシェアリングといったことが注目を集めています。メディアの特集などでファッションレンタルなどが取り上げられると、男性のファッションレンタルはまだ数が少ないので、検索して入会される方が多いです。
leeapはファッションが苦手な方をメインのターゲットにしているんですが、ファッションが得意でも時間のない方、つまり何らかの理由があって洋服を選んで欲しいという方もターゲットだと考えています。そういった方々に普通に広告を打ったとしてもなかなかうまくいかないんです。ファッションレンタルサービス、と言っても「そういうことは考えたくない」と、弾かれてしまうんですよ。「ファッションが好きな人のサービスでしょ」と。なので、あまりネットの広告との相性がよくないビジネスだと思います。
検索広告などで、明らかに私達のサービスを探しているような方とコンタクトをとるのは大丈夫なんですが、興味関心が向いていない方に対して広告を見せても行動を起こしてもらうには難しい部分があります。
なので、検索広告もそうなのですが、ニュース系のメディアに掲載されて、記事を読んだ方が入会しているという状況です。
服を自分で選ぶ時間がなく忙しい、自分では選びたくない、といった動機なので、そういったニーズをターゲットとした企業さんと組んでキャンペーンをやったりもしています。例えば所得の高い方などは仕事が忙しいこともあって自分で服を選ぶ時間がなかったりします。分かりやすい例で言うと、不動産業界でマンションの管理サービスと組んでleeapを紹介したりしています。
ー小売の業態からサブスクリプションに業態転換して見えてきたことはありますか?
ビジネス的に見ると、安定的な収益が見込めるようになったと言えます。毎月継続の課金が収益のベースになるという部分です。事業が安定する、ということから、じっくりと事業の本質と向き合いやすいというメリットが生まれます。サービスを改善する上で非常にやりやすい部分です。
小売をやっていたときには、月単位や週単位で売上が変わっていました。売上が上がったり下がったりして、そこに振り回されてしまうということがあると思います。売り上げが上がったので仕入れも増やさないといけなかったり、売上が下がったらシフトを組み直さないといけなかったり、モノも人も全てが振り回されていました。
売上が安定していると、日々の売上に振り回されることなく、例えばユーザーが退会するときに「こういう理由だ」など声に耳を傾けることができますし、「ならここを改善しよう」といったビジネスの改善にも非常に取り組みやすいです。
ビジネスサイドだけでなく、ユーザーサイドにとってもいい面があると思います。小売をやっていると、「めちゃくちゃ売れたけど、何でこれが売れたんだろう」ということがよくあります。そうなったときに、またヒット商品を作るときも曖昧な決断をしていたことが多かったんですが、サブスクリプションの形式になってから、ユーザーさんに関する濃い情報が入ってくるようになってきたので、目の前の売上に振り回されずにユーザーさんに対する改善に取り組むことが出来ています。おかげで「もっとよくなったね」と言われることもあります。この、ユーザーさんとのコミュニケーションのキャッチボールが、小売とサブスクリプションの違うところだなと感じています。
ー事業のブラッシュアップというと、例えばどんな部分を今後さらにブラッシュアップしていくのでしょうか
まだ3年ということもあり、いろいろと改善していきたい部分は多いのですが、例えばLINEでのユーザー対応も改善していきたいと考えています。また、コーディネートについても、今はサイズや趣味趣向などのデータを学習して精度を上げていますが、これもさらに精度を上げていく必要があると考えています。
仕入れの部分についても、データを使って改善できる部分があります。売れる、売れない、というのももちろんありますが、このブランドのこのセーターは廃棄するまでの期間が長い、といった情報も貴重なデータになってくるんです。こうしたデータを持っていると、「とりあえず3,000円のセーターを仕入れよう」ではなく「このセーターは5,000円だけどしっかりしていて長持ちするからこちらを選ぼう」といったことが可能になってきます。これは、小売には無い感覚だと思います。
ーそうしたデータはアパレルメーカーと共有したりするのでしょうか
そうですね、今後はしていきたいと考えています。ただ、最近になってやっと理解が得られ始めているのですが、アパレルメーカーさんの中には服のレンタルに対して賛成しているところもあれば、あまりよく思っていないところもあるのが現状です。
私達としては、アパレルメーカーの市場を食っていくぞというつもりはなく、お互いにいい形を作っていければいいと思っているんですが。
ーleeapの今後の展開は?