ダウンロード型のデジタルコンテンツ販売では在庫の概念がないので、在庫の心配はないかもしれませんが、月によって売上がばらつくという意味ではバージョンアップ版の開発にどの程度投資していいのか、見込みが立てづらいというまた違った問題がでてきます。
サブスクリプションビジネスの場合、顧客数と契約期間が見えているので、計画生産ができることがメリットです。
生産の面だけでなく、計画的な投資が行えるというのも、サブスクリプションビジネスの大きな特徴です。
先程、デジタルコンテンツ販売の例を挙げましたが、年間を通してどの程度の利益が見込めるのか?があらかじめ見えているサブスクリプションビジネスの場合、投資に回せる金額も計画しやすいというメリットがあります。
フロー型ビジネスは、見込んでいた売上が立たなかったとき、場合投資に回せる資金を見直さざるを得ません。
フロー型のビジネスの場合、その月その月ごとに売上が変動し収益予測が立てにくいのに対して、サブスクリプション型サービスの場合、毎月(あるいは毎年)の収益予測が立てやすいというメリットがあります。
ビジネス立ち上げ期の投資期間を超えさえすれば、売上利益がストック型に積み上がっていくためです。
事業に対して新たな投資を行う場合にもあらかじめ計画を立てることが可能になります。
万一、新たな投資に失敗した場合でも、長期的な売上見込みがあるのでリカバリが容易という点も経営者から見てメリットになるでしょう。
このような収益構造のメリットとしてもう一つ挙げられるのが、投資家からの評価が非常に高いことです。
米国では、Adobeがサブスクリプションモデルに切り替えてから、株価は急速に伸びています。
カミソリのサブスクリプションビジネスで話題となったダラージェイブクラブ(Dollar Shave Club)は大手のユニリーバに約1100億円で買収されるなど、高い評価がつけられています。
日本ではまだ消耗品のサブスクリプションは始まったばかりですが、顧客のニーズに見合う商品であれば継続的な購入が期待できます。
売上見込が立てやすいこと、投資家からの評価も高いことなど、サブスクリプションビジネスは経営者の精神衛生に良いのが一番のメリットかもしれません。