今回は3ヶ月99円キャンペーンをもとに、サブスクリプション型サービスの収益について考えてみたいと思います。
Amazonの3ヶ月99円キャンペーンは1月4日までの期間限定キャンペーンですが、サブスクリプション型サービスでは契約のハードルを下げるために、初期の期間の利用料を安くしたり無料にしていることがあります。
いわゆる2ステップ型のマーケティング手法です。
3ヶ月99円にしたことで、サブスクリプションの収益はどのように変化するでしょうか。
縦軸を利益、横軸を時間で考えた場合、収益は以下のようになります。
マーケティング費用などが発生しているため、サブスクリプション型サービスでは契約時はマイナスからのスタートです。
「Amazon Music Unlimited」は広告も出稿しているようなので、顧客獲得のために使った広告費用もかかってきます。
3ヶ月で99円ということでほぼ無料に近いグラフになりますが、3ヶ月分利益が発生するのが後ろ倒しになります。
ただ、今回のキャンペーンによって顧客の獲得単価が下がった場合、以下のようになることが考えられます。
キャンペーンを打ったことで1人あたりの顧客獲得単価が下がり、効率よく顧客が獲得できたとすると、結果的には損益分岐点も変化せずに済みます。
99円期間から通常の980円に金額が戻る3ヶ月目の解約率がどの程度かによってキャンペーンの成果は変わってきますが、2ステップのオファーとしては一つの選択肢になるのではないでしょうか。
ところで、なぜ無料ではなく99円なのでしょうか。
無料にした場合、会員登録まではしてもらえます。
一方で、1円でも費用が発生することで、クレジットカード情報の登録など、支払いにまつわる手続きが発生します。
クレジットカードを登録してもらえれば、3ヶ月の99円期間を超えて4ヶ月目の通常の支払いにスムーズに移行できるというメリットがあるのです。
フリートライアルや初期値引きなど、サブスクリプションサービスの入り口施策には様々な方法があります。
今回の「Amazon Music Unlimited」のように、期間限定のキャンペーンとして実施すれば「この日までに申し込まないと損」という心理が働いて、99円ならと申し込む人も増えそうです。
特に1月4日までと限定しているあたり、暇を持て余す年末年始の休暇についつい申し込んでしまうといった効果もありそうです。
ただ、安易な値引きはキャンペーン受付終了直後には「昨日まで安かったのに損をした」という感情を抱かせて、キャンペーン直後の申込みが落ち込むなどの弊害もあります。
キャンペーンの内容や時期はよく考えて設計したいものです。