【インタビュー】プロ料理人のサブスクリプション『シェアダイン』 ベータ版を経てサブスク導入まで

スポット契約にもかかわらず、最大7割という高い継続率を実現していたのがプロの料理人を家庭に派遣する『シェアダイン』です。以前から家事代行サービスは存在していましたが、『シェアダイン』は従来のサービスと何が違うのでしょうか。また、サブスクリプションメニューを追加するにあたって、どのような経緯があったのでしょうか。

こうした疑問を『シェアダイン』を運営する株式会社シェアダインのCEO 代表取締役 飯田陽狩氏にお伺いしてきました。

株式会社シェアダイン CEO 代表取締役 飯田陽狩氏

 

サブスクサービス『シェアダイン』の従来の家事代行との違い

-サブスクリプションサービス『シェアダイン』はどんなサービスなのでしょうか

一言で申し上げると、食の専門家とご家庭をつなぐマッチングサービスです。イメージとしては従来からあった家事代行サービスの調理代行や下ごしらえといったサービスや、ハレの日用の出張シェフといったサービスに近いのですが、ケの日ハレの日いつでも、ライフステージやライフシーンに伴走する形で、ご利用いただけるサービスになっています。

また、お料理教室と出張シェフの中間的なサービスにも位置づけています。単に料理をお作りするだけではなく、そのご家庭ごとのニーズに合わせてメニューのご提案をさせていただいて、レシピの提供や調理のポイントまでお伝えしています。

 

-家事代行サービスとは色合いが違うということでしょうか

はい、私達は”代行”という言葉があまり好きではなくて、サービスのご紹介をするときにもあえて使っていないんです。自分では絶対に出来ないことを、専門家にやってもらうというのが”代行”ではない、という意味合いがあります。

あと、家事代行サービスでも栄養士さんもいらっしゃるかも知れませんが、多くは子育てを終えた主婦の方などが出張してくれるといったサービスになっています。シェアダインの場合は、出張するのは食の専門家である栄養士さん、調理師さんです。

 

-食のプロが家に来てくれて、作ってくれるだけでなく教えてくれるということなんですね

はい、これまで当たり前のように存在していた、親から子どもへの家庭の味の継承というものをみんなでやろうよ、という考え方です。テクノロジーの進化で専門家が身近になっている今、美容室のスタイリストなどもそうですが、料理のプロともマッチングが可能だというのが背景にあります。

 

スポット型のベータ版を経てサブスクリプションプランを導入するまで

-サービス開始当初はサブスクリプション型ではなく、都度申し込み型のサービスだったんですね

はい、サブスクリプション型についてもはじめから計画はしていました。その前に、単発のサービスをベータ版といった位置づけでスタートさせました。

ベータ版を運用するなかで、ユーザーさんが一人の料理家とずっと契約するわけではないということが分かってきました。継続してサービスを利用しているユーザーさんの使い方を見ていると、お気に入りの料理家さんを2~3人登録しておいて、その時その時に応じて使い分けていました。特に子育て世代はお子さんの成長に合わせて食事が大きく変化します。そういったときに、料理家さんを入れ替えて利用しているんです。こうしたニーズは、家事代行サービスなどの他の定期サービスだと満たせないな、と感じました。

そこで、シェアダインではこうした複数の料理家さんを利用するニーズをサブスクリプションで解決する方法を模索していました。

お掃除やベビーシッターさんの家事代行サービスであれば、安心の担保などもあって同じ方に継続してお願いしたいという傾向が強いと思うのですが、お料理の場合には自分のライフステージやライフスタイルに合わせて、その都度違った方に依頼できる方が本質的なニーズに応えられると考えています。

 

サブスクサービス『シェアダイン』誕生の背景

-シェアダインのサービスを始めたきっかけはどういったところにあるのでしょうか

大きなきっかけが2つありました。一つは私が前職でコンサルティングの会社で働いていたのですが、共働きで子育てをする中で、食卓を犠牲にしているという罪悪感を持ちながら過ごしていました。こうした想いから、内食のサービスを作りたいと考えました。

もう一つは、5ヶ月で産休から職場に復帰したのですが、身体を壊してしまって寝込んでしまった時期がありました。そのときに家事代行サービスを頼んでいたのですが、たまたま来て頂いた方が産後ドゥーラという資格をお持ちの方でした。産後ドゥーラというのは、赤ちゃんの沐浴をしてくださったり、腰をマッサージしてくださったり、産後のケアをしてくださる方なんですが、その方が食事を作ってくださることになりました。なかなか買い物に行けなかったのですが、その時冷蔵庫にあるもので「これなら料理ができますよ」ということで作ってくれたのが、ニンジンの切れ端とオリーブオイル、はちみつで作ったニンジンのラペでした。「産後のママの体調不良にいいんですよ」とおっしゃっていたのですが、このメニューは普段なら同じ材料があっても自分では作らないものでした。

その時に感じたのが、家庭料理の価値というのは相手を想って作るということでした。産後ドゥーラさんが自分のために作ってくれたというのがとてもうれしくて、なおかつ自分が思いつかないメニューを作ってくれたという価値も感じました。ただ、この出会いは偶然で、産後ドゥーラさんだと分かっていて家事代行を申し込んだわけではありませんでした。これを必然として出会える仕組みを作りたいなと考えて作ったのが、シェアダインでした。例えば、子育てであれば離乳食が必要な時期があると思います。そうしたときに、離乳食というタグで検索すれば専門家に会える。産前産後の体調不良などであれば、産前産後というタグで検索すれば、専門とする栄養士さんなどに会える、など、その時のニーズに合わせて専門家に会える仕組みがシェアダインでは実現しています。

こうして、2017年5月にシェアダインを創業して、2018年5月にサービスを開始しました。

サブスクマガジン 編集部
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